その時
その時、東京タワーそばの制作会社のあるビルの五階でで打ち合わせ中だった。
今まで体験したことのない激しい揺れ。
近々に起こったニュージーランドの状況が甦った。くわえて近所のビルは、数年前の耐震問題で偽装が発覚し取り壊されていた。そのことが重なり、テーブルに掴まりながらこのビルも潰れると思った。
長い長い揺れの後、ようやく収まった。幸い建物は耐えてくれた。窓の外の風景もいつもと同じで少し落ちついた。
しかし、今回の事で、自分の危機察知能力というか危機管理能力のなさを痛感した。
真っ先に頭に浮かんだのは、この後の予定をどうしようかと言うことだった。法務局に書類を取りに行く予定だったのでとりあえず行ってみるか、とそんなことを考えていた。
家族の無事やすぐさま家に帰ってみようと言う考えは浮かんでこなかったのだ。
何の根拠もなくきっと無事だと思い込んでいた。
気が動転したのだろうか、改めて考えても驚くばかり。
しばらくして階段を降りて外に出た。
するとそこら中の建物から人があふれ出てきている。異常な光景だった。そこへ2度目の強い揺れ。
見上げるとその辺のビルが音を立てて揺れている。
それを見てようやく事の重大さに気づき始めた。
たまたまその日車を車検に出していたこともあって、一緒に打ち合わせをしていた人が同じ方向だったので、とりあえず車で家まで送ってもらうことにした。
いつも通る道には人が溢れている。公園にも人だらけ。道も渋滞してきている。携帯もさっぱり繋がらない。不安な気持ちがどんどん膨らんできた。
何とか自宅に到着。家族は幸い無事だった。心からホッとする。
あとで知ったのだが、返りながらツイッターで現状を何度かつぶやいていた。
偶然にも同じマンションの方がフォローしてくれていて、自分のつぶやきを見てわざわざ家族に知らせてくれたらしい。ほんとにありがたいことだ。ソーシャルネットワークが確実に役立った。
あれから2週間以上経ったが、未だ不安な状況は続いている。
あの日を境に考え方が少し変わったように思う。たぶん自分だけではないだろう。
何が変わっていくかはまだわからないが。
| 固定リンク
| コメント (12)
| トラックバック (0)
最近のコメント